管理栄養士養成の大学に入る際、化学と生物ができないと難しいという話は聞いたことがあると思います。
たしかに管理栄養士養成の大学で勉強する分野は比較的理系の知識が必要になることが多いです。
ただ、最初から理系の知識がないとダメかというと決してそんなことはありません。
文系の学生や理科系の科目が苦手な学生でも管理栄養士になりたいという強い気持ちさえあれば、生物や化学の知識は最低限あれば大丈夫だと思いますよ。
管理栄養士養成大学では化学と生物どっちが重要?
結論から言うとどっちも重要です。
ただゴリゴリに理系の知識が無ければいけないわけでもありません。
どちらも広く浅く理解できていれば問題はないかなという印象でした。
化学の重要性
栄養学では、食物が体内でどのように代謝されるか、栄養素がどのように吸収・利用されるかを理解するために化学の知識が不可欠です。
例えば、次のようなトピックがあります。
- 有機化学:栄養素(炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミンなど)の構造と性質
- 生化学:代謝経路や酵素の働き
- 食品化学:食品成分の特性と加工方法
栄養学に興味のある方なら三大栄養素やビタミンは関心の高い所ではないでしょうか。
食品の成分や加工についても深く勉強してみたいと考えている方は多いはずです。
一見興味があればすぐに頭に入りそうな分野に見えますが、この辺は化学の知識があるかどうかで勉強した時の理解度が天と地ほど変わってきます。
特に食品学の部分は、化学の基礎的な知識がないと理解に苦しむことが多いです。
栄養素の成分や計算に関しても化学の知識あってこそ理解が深まる所ではあるので、勉強についていけなくて困りそうな方は基礎化学の中でも最低限モルの計算方法や化学式、中和滴定などの部分はしっかり頭に叩き込んでおくといいと思います。
生物の重要性
一方、生物は体の仕組みや栄養素の働きを理解するために重要です。
生物の知識は次のような分野で必要となります。
- 解剖学・生理学:人体の構造と機能
- 微生物学:食中毒の予防や発酵食品の理解
- 遺伝学:遺伝性疾患や栄養と遺伝の関係
人体の構造や消化の仕組み、解糖系・電子伝達系などの部分は苦手な人も多いですし、国家試験でも頻出する分野でもあります。
臨床栄養学など勉強する際にも生物の知識があると疾患などの仕組みが理解しやすいです。
つまり化学と生物どちらも知識があるに越したことはないということですね。
どちらかというと化学が苦手な人の方が苦労しやすい
ただ、敢えて白黒つけるとするなら化学が苦手な人の方が苦労しやすいと思います。
化学というよりは計算に近いかもしれません。私の学校だと食品学や基礎栄養学で単位を落としてしまう人が多かったのですが、大半は計算問題が理解できず点数が取れないという人が多かったです。
生物の分野は比較的暗記で乗り切れる側面も大きいのですが、化学の分野は暗記だけだとどうしても限界があります。
特に栄養学系の大学の中でも偏差値が低い学校だと誰かに教えて貰っても理解できない、壊滅的に頭が良くない人は一定数いたように思います。
そんな感じの人は残念ながら留年してしまって学校自体を辞めてしまうことも多かったですが、ほとんどの場合本気で勉強してない人も多かったです。
逆に高校時代から壊滅的に勉強の出来なかった人(定期試験は毎回赤点を取っていたような人)でも死ぬ気で勉強していた人は何とか単位が取れていましたし、国家試験にも合格できています。
だから大事なのは化学や生物ができるかどうかより苦手な部分でも努力できるかどうかではないかと感じました。
管理栄養士養成大学で有利なのは理系?実は調理科出身の人も有利?
管理栄養士を目指す上で、基本的には理系の方が有利です。
理由としては、上記のように化学や生物に関連する科目が多く、これらの基礎知識が求められるためです。
ただし、文系や調理科出身でも頑張れば十分に追いつくことができます。
最も重要なのはこれから勉強していく学問に対して興味を持つことです。
文系や調理科出身でも勉強にはついていける?
文系であっても調理科出身であっても勉強自体はついていけます。
1年生の内はどうしても理系の人の方が有利ですが、その差は学年を重ねる毎に縮まっていくことが多いです。
ただ、入学した時点で有利な順に並べるとしたら
- 理系出身
- 調理科出身
- 文系出身
になるのかなと感じました。
学校のカリキュラムにもよりますが、1年生の内は食品学や調理学、食品衛生学などの分野を重点的に勉強していくからです。
その辺の分野だと調理科出身の子の中には
「こんなの高校の時の復習じゃん」
と言っている人もいる様子でした。
一方で文系・理系で別れる普通科の学生からすると初めて勉強する分野なのでスタート地点が違うなと感じることがあるかもしれません。
しかししっかり講義を聞いて予習・復習をしていれば、最初の時点の差もすぐに埋められると思いますよ。
管理栄養士養成大学は化学が苦手でも大丈夫な理由
「化学ができないと無理なのか?」という質問についてですが、結論から言うと無理ではありません。
化学が苦手でも、努力とサポートを受けることで乗り越えることが可能です。
大学では、基礎からしっかり学べるカリキュラムが用意されており、授業や実験を通じて理解を深めることができます。
文系学生が栄養学部を選ぶデメリット
栄養学部は文系・理系の区分でいうと、「文理」と区分される少し珍しい学部です。
要は文系でも理系でも目指せる学部ということではあるのですが、文系学生のだと理系学生に比べ不利な分、当然デメリットも生じます。
それが偏差値の高い学校を目指す難易度が上がるということです。
偏差値の高い大学を目指す難易度が上がる理由
偏差値の高い学校だと試験科目の中で理系の「生物」「化学」が入っていることが多いからです。
基本的に文系の学生だと高校では「生物基礎」「化学基礎」までしか勉強しないですよね。
そのため、足りない分は自分で勉強して試験に臨む必要があります。
試験科目が文系では学べる範囲でない分、同じ偏差値の学校でも栄養学部は若干難易度が高くなると考えた方がいいでしょう。
ただ、全ての学校がそうではなく、偏差値の高くない学校であれば、「生物基礎」「化学基礎」が試験科目となっている所もあります。
偏差値はやっぱり重要?
可能ならば少しでも偏差値の高い学校を選んだ方がいいというのが正直な所です。
ただ、将来的に管理栄養士としての仕事をしていきたいと考えているのであれば、そこまで重視しなくてもいいかもしれません。
なぜならどこの学校に通っても資格さえ取れば同じ管理栄養士だからです。私の学校の教授は
栄養学部に入る最大のメリットは偏差値がロンダリングできることやな。偏差値60の大学でも偏差値40の大学でも目指す所は管理栄養士を取ることやろ?だからとりあえず資格さえ取ってしまえば偏差値高い学校卒業した奴らとあんま変わらんねん。
要は資格を取った後にどれだけ経験を積んで、知識を深めていけるかが重要らしいです。
なので資格を活かして働いていきたいと考えているのであれば、偏差値はそこまで拘らなくてもいいのかもしれません。
ただやはり食品メーカーや製薬企業など就職難易度の高い業界を目指すのであれば、偏差値の高さも重要なポイントにはなります。
管理栄養士養成の大学で勉強する科目
管理栄養士養成の大学では具体的にどんな学問を勉強するのか気になる方も多いと思います。
ここでは学年毎に学ぶ科目についてざっくりとまとめてみました。
1年次に学ぶ科目
- 生物・化学
- 解剖生理学
- 微生物学
- 公衆衛生学
- 微生物学
- 食品学
- 調理学・実習
- 生化学
2年次に学ぶ科目
- 有機化学
- 応用栄養学
- 臨床栄養学
- 1年時に学んだ学問の実習
3年次に学ぶ科目
- 臨床栄養学
- スポーツ栄養学
- 2年で学んだ学問の実習
- 臨地実習
- 卒業研究・論文
4年次に学ぶ科目
- 臨地実習
- 卒業研究・論文
- 国家試験対策
国家試験の科目
- 社会・環境と健康
- 人体の構造と機能及び疾病の成り立ち
- 食べ物と健康
- 基礎栄養学
- 栄養教育論
- 臨床栄養学
- 給食経営管理論
- 公衆栄養学
- 応用力問題
入学までに最低限やっておいた方がいいこと
- 基礎化学と基礎生物の復習:高校で習う基礎的な内容をしっかり復習しておきましょう。
- 関連書籍や資料の読解:栄養学や食品に関する入門書を読んで基礎知識を身につける。
- 興味を持つこと:栄養に関するニュースや記事を読んで、興味を深めておくと良いでしょう。
- 計算力の強化:栄養価の計算や統計処理など、数学的な基礎力も役立ちます。
化学と生物のどちらも非常に重要ですが、特に化学は深く理解しておくと学びがスムーズになります。
とはいえ、どちらの科目も基礎からしっかりと学べば大丈夫ですので、自信を持って入学準備を進めてください!
コメント